人の器の大きさを左右する「不確実性への耐性」
こんにちは。聞き手の井原です。
今日は、人の器の大きさを左右する「不確実性への耐性」という話をします。
あなたは、「不確実性への耐性」という言葉を聞いたことがありますか?
僕は、最近、インターネット上のビジネス関連記事で目にするようになりましたが、
これを、心理学では、「ネガティブケイパビリティ」と呼びます。
「ポジティブケイパビリティ」が「問題解決力」であるのに対して、
「ネガティブケイパビリティ」は「解決しない問題を抱える力」(=不確実性への耐性)のことを言います。
僕たちが生きる上で、
仕事、恋愛、人間関係など、さまざまな事柄において、
白黒はっきりつけられないことがたくさんあります。
むしろ、白黒はっきりつけられないことの方が多いと思いますが、
そんな中、僕たちはつい白黒はっきりつけたい気持ちに駆られます。
僕たちは、心が未成熟な段階では、
この「解決しない問題を抱える」という力が未熟なため、それを抱え続けることは難しく、こうした時、不健全な心の防衛機制がはたらきます。
例えば、スプリッティング(分裂)や躁的防衛、投影、身体化、アクティングアウト(行動化)などが挙げられます。
スプリッティング(分裂)では、善か悪か、ゼロか百か、白か黒か、などの二元論的な思考がはたらきます。
・「あいつが悪い」とか、
・「この環境が悪い」とか、
・「自分はダメな人間だ」などと、
本来は玉虫色の現実に対して、決着をつけずにはいられないのです。
ベストセラー「7つの習慣」に、
「“関心の輪”と“影響の輪”」という考え方が書かれています。
・「関心の輪」は、自分が関心を抱く事柄(今、目の前に認識している現実)の全体を指します。
・「影響の輪」は、関心の輪の中にある、“自分が影響を及ぼせる範囲”を指します。
この時、自分の行動を、外側にある「関心の輪」に向けるのか、
内側にある「影響の輪」に向けるのかで、その後の風向きが変わるという話なのです。
わかりやすく極端な話をすると、
天気が雨の日に、雨雲に怒るのか、傘をさすのか、という話です。
ここでは、更に次のようにも説明されていて、
「外側にある“関心の輪”にフォーカスすると、影響の輪は小さくなり、“自分が影響を及ぼせる範囲”は狭まる」
「内側にある“影響の輪”にフォーカスすると、影響の輪は大きくなり、“自分が影響を及ぼせる範囲”は広がる」
環境や他人に不満を抱き、どうにもならないことに捉われ、一向に進まないのが前者、
今の自分に出来ることに取り組み、変化していくのが後者であり、
つまりは、自分に変えられることには力を注いで取り組むが、今すぐに変えられないことは無理にどうにかしようとするのではなく、そのまま抱えるということが大切なのだ、ということなのです。
(ここでの要は、考えないとか、放っておくとかではなく、“そのまま抱える”ということ)
「ネガティブケイパビリティ」が高い人は、困難な状況に耐え、時間をかけて物事を前に進めることができます。
目の前の状況に対して「ポジティブケイパビリティ(問題を解決する力)」を発揮できる人は、それなりにいるが、「ネガティブケイパビリティ(問題を解決せずに抱える力)」を発揮できずにフェードアウトする人も多いのです。
「目の前の不確実な状況に耐えうるかどうか」というのが、その人の器の如何を左右するのだと思います。
僕が、最近、読み始めた「致知」という雑誌に、
とても参考になる内容の記事があったので、以下に抜粋し、紹介します。
西郷南洲翁遺訓の一文の意訳
「政府において国家運営に従事するということは、天地自然の大道に国を沿わせることであるから、僅かなりとも私事私欲などを差し挟んで出来ることではない。心を公平にとり、正道を踏み、広く賢人を選挙し、その職務にたえられる人に政権をとらせることこそ天の意思である。したがって真に賢人と認める人がいたら、即座にその人に自分の席譲るほどでなければ望むようになることはない」
・私事私欲を差し挟まない
・心を公平にとり、正道を踏み、広く賢人を選挙する
・その職務にたえられる人に政権をとらせる
政府に限らず、どのような組織・コミュニティでも同じことが言えると思います。
僕は、常に、このことを心に留めて精進したいと思っています。
あなたは、この話を聞いてどのようなことを感じられ、考えられるでしょうか。
今日は、人の器の大きさは「不確実性への耐性」で決まるという話をしました。
今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。